HOW TO BEND(ベンド

ベンド幅の限界

実は通常のベンド(1-6番ドローベンド、7-10番ブローベンド)においては、ベンドをかけるリードと逆側のリードも同じ振動数で共鳴して同音を発しています。

そのため、1枚のリードだけの振動に比べて音がしっかりし、音量もあり音高(ピッチ)も安定しやすくなっています。ただ2枚のリードが鳴っているため、ベンドをかける側と逆側のリードの通常音の高さによって音の下がる限界=ベンドの下限ができてしまいます。

例えば3番のドローベンドの場合、通常ドロー音はBですが、ブローリードの通常音がGなので、Gより高い音(12音階で言えばA♭、A、B♭。実際に各々の中間、例えばGとA♭の間の音も無段階で出る)しか出ません。これはベンドをするとドローリードがBから下がった音が出る一方で、ブローリードは逆にGから音が上がってドローリードと同じ高さの音が鳴っているのです。ここでは詳細説明は省きますが、ブローリードはドロ-(吸う事)によって元の音より下がることはなく、通常音より高い音しか出ません。したがってこれがベンドで下がるピッチの限界を規定することになるのです。したがって逆側のリードを塞いだりして鳴らないようにすると、この下限はなくなり、場合によってはより低い音までベンド音がだせるようになります。ただ片方のリードだけで音を作ることになるので、負荷(圧力)がかかった状態のリードは大きくは振動せず(振幅が小さくなる)、ベンドを深くかけて音高が低くなるほど音量も小さくなり最終的に0になるので、それにより別の下限が規定されます。バルブのあるハーモニカはこれに当てはまります。例えばクロマチックハーモニカはバルブがあるため、ある穴でドローベンドをかけようとするとドローリードは反応するがブローリードは振動しないため、少しピッチが下がっただけでベンド音がすぐに減衰し、演奏に使える音としてはせいぜい半音下くらいまでだと思います。実はクロマチックハーモニカをやったことがありませんのであくまで推測ですが、バルブ付きの10ホールズハーモニカでベンドをしたとき、同じような感覚を覚えました。ちなみにバルブ付きの10ホールズハーモニカの紹介をしますと、私が知っているのはSUZUKIのMR-350(v)シリーズにあります。バルブを付けることで単リードでベンドが可能になるので、通常のベンドのみでは出ない音階、(例えばCハーモニカの1番ドローと2番ブローの間のE♭の音など)がオーバーブロー・ドローをしなくても全て出せるようになります。ですのでジャズなどの半音階の進行の多いジャンルの曲も演奏できるようになります。これはこれで面白い楽器なのですが、バルブのベンドの感覚は2枚のリードが鳴る通常のベンドと違い、より細く不安定な音が出がちできれいな音を出すのに熟練を要します。それとオーバーブロー・ドロー自体ができなくなる(理由は追々説明予定)ので、オーバーブロー・ドローに慣れている方には逆になじみにくいハープと言えます。あと、バルブ付きのハープはより細かいメンテナンスが必要になるという側面もあります。

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